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【研究NOW! vol.12】半導体量子構造上で単一原子操作を 行い、その操作原子の電子軌道を介した 電子のトンネル機構を解明

電気工学科 鈴木准教授の走査トンネル顕微鏡による原子操作の論文が、この度アメリカ物理学会が発行し、物理学の専門誌として権威のある『Physical Review』のONLINEに掲載されました。掲載されたのは物性物理学、材料物理学領域の『Physical Review B』で、タイトルは「Tunneling spectroscopy of an indium adatom precisely manipulated on the cross-sectional surface of InAs/GaSb quantum structures」~InAs/GaSb量子構造断面上で精密に操作されたインジウム原子のトンネルスペクトロスコピー~です。

URL: https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevB.100.235306

 

この研究はナノメートルスケールの膜厚をもつ異種半導体多層膜構造断面において、走査トンネル顕微鏡を用いて単一原子操作を実現し、その操作された原子の電子軌道を通した電子トンネル機構を解明したものです。
これまで金属や半導体の一様、均一な平面上で原子操作が実現されていましたが、人工的な量子構造上における原子操作は世界的にも類を見ません。本研究はNTT物性科学基礎研究所との共同研究で、鈴木准教授自身が前職の同研究所で原子操作を行い、操作原子上のトンネル電流を測定しています。
本学着任後、数値計算ソフトウェア「MATLAB」を用いて電子トンネルのシミュレーションを行いました。その結果、操作原子の空の電子軌道を介して電子が1個ずつ通過する単電子トンネルであることが示されました。
今後この技術を利用することで半導体素子の微細化、集積化、省電力化が期待され、例えば単原子/単電子トランジスタといった究極の原子スケールデバイスの実現が期待されます。

 

走査トンネル顕微鏡: 探針と試料の間に1 V程度の電圧をかけ、それらを1 nm (= 0.000000001 m)以下に近づけると、量子力学的な現象であるトンネル効果により電子が何もない空間(ポテンシャル障壁)を通過し100 pA (= 0.0000000001 A)程度のトンネル電流が流れます。探針を試料の面方向に移動しながらトンネル電流を調べることで原子分解能を持つ顕微鏡となります。また電圧を掃引することで、トンネル先の電子的なエネルギー構造を調べることもできます。探針を利用した原子操作(原子を置く・拾う・移動させる・交換する)も試されています。
MATLAB: 数値計算ソフトウェアで機械や電気回路のシミュレーションにも使われます。本学では、包括ライセンスにより全教職員、全学生が使用可能です。

 

鈴木 恭一 准教授

 

  • 工学部 電気工学科
  • 工学研究科 修士課程 電気工学専攻
  • 研究分野:量子電子物性・半導体工学

 

 

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トピックス   2019/12/25